ボーダー・ラインI〜III

ボーダー・ライン(1)

ボーダー・ライン(2)

ボーダー・ライン(3)

キャスト:由利潤一郎(三木眞一郎)×真行寺佳也(鳥海浩輔)他。

BLなんだからボーイズのラヴな話なんですけども、なんつうか、その深さに驚かされます。
定番の口説き文句として「男だから惚れたんじゃない、お前だから〜」つうのがありますが、その言葉に偽りなく、相手のことを丸ごと、存在全部を受け入れるっていうのはこういうことなんだなあと。

攻さまであるところの由利は、少々カマ入ったwエキセントリックな人物として登場します。ゲージュツ家っぽいけど、弁護士。目的を遂げるためには手段を選ばない、自称悪徳弁護士です。無論、受であるところの桂也に対しても、有無を言わせない強引さで迫ります。
でも、なんだろう、由利にとっての桂也が、単なる興味の対象じゃなくて、もっと大切な存在になったときの優しさってやつが、なんかもうすげーんですよ。
通り一遍の慰め方は、しない。
桂也の傷を暴いて現実を突きつけて、その上で、受け止める。突付かれた痛みも、戸惑いも、全部。
それでいて、受け止めるだけで見返りを求めないんだ。
「あなたが好きだから」
それだけで、何も求めない。

いやまあ、エチシーンもあるんですよ? 由利曰くの「オイシイ思い」をするシーン。んでも、そこでも由利は与えるばっかりで。多分与えることを楽しんでもいるんだろうけども、肉欲と言うにはあまりに優しい。
「泣いて。もっと、泣いて」
と言いながら、桂也の心を溶かすためだけに、抱く。
過激なプレイも、直接的なやらしい言葉も全然ないんだけども。
由利の言葉で一枚一枚心を脱がされてゆくさまは、たまらなくエロティック。

んでも、そんな風な恋愛をしている二人を、もう一本のストーリーである事件が容赦なく引き裂くですよ。
ある意味、そっちの事件で桂也の心が揺れたから、由利が桂也の心にアクセスできる隙ができたようなもので。
その事件が結末を迎えると、二人の恋も「終わってしまう」。
由利は「桂也さんの辛い記憶を、僕への愛で塞いでいるんです」って言うけども。
溢れんばかりの由利の愛を桂也が理解し受け止めたところで終わってしまう恋は悲しすぎる。
ラストシーンはたまらんです。
ややネタバレすると、終わるのは桂也サイドの恋のみなので。
由利はずっと待ち続けているし、チャンスはものにするだろう、というオチになっています。

ドラマCDなんで、声優さんの演技にも触れないと。
自分は三木さんが好きで、これも三木さんの出演作だから買ったわけですが、今まで買ったCDの中で一番ヤバい声でした。
ストーリーにえらいハマったっていうのもある。
けども、由利のどこまでが本気で、どこから嘯いているか、その辺がよく判らない不定形のキャラを、ものすごく的確に演じてらっさる。
軽いんだけど、軽いトーンにものすごく切実な想いを込めたり、ヒドいことを言ってるんだけど気持ちは相手への慈しみで溢れてたりっていうのが、声ひとつで伝わってくるですよ。
いやまあそういう真面目な話ばっかりではなく、端的にエチシーンがですね、とんでもなく心に刺さるですよ。
いやもう、聞いてる間何度「殺される!」と叫んだことかw 萌え殺されるよもう。
あんな声で、あんな台詞で迫られたら絶対堕ちる。
なんつーか、脱いだり言葉で明かしたりする前に全部バレてる。そういう安堵と羞恥に身悶えさせられる(笑)
そういう行為をですね、三木さんのやーらかい声で囁かれるともう、どーしていいか判らんです。
鳥海さんは、そういう由利に翻弄されるカタブツ桂也をきっちり演じてらっしゃいます。くるくると舞って、堕ちていくさまをw 立場が受だからってんじゃないですけども、三木さんの演技をよく受けて、ぴったり沿う感じです。
エチシーンの時の熱のこもった声もえらい色っぽいですよん。個人的に掠れて高音に裏返っちゃう喘ぎが好きてのもありますが。
あ、そだ、全編いいんですけど、意外な聞き所として、2枚目の最後、次巻予告の三木さんの声がすんげーです。リアルタイムで買ってた人は、その先の悲しい結末を予感して買うのを躊躇っただろうなーとか思うくらい(笑)

いやなんつか、このCDはお話が好みすぎたんで暑苦しく長文書きましたが、普段はこー、お話はさておき「音」として、声を楽しむ感じで聞いております。
次回以降のレビューはここまでストーリーに言及しないかもー。