ヤバイ気持ち

ヤバイ気持ち

キャスト:中条涼司 (檜山修之)×舞木透(櫻井孝宏)・ 柏崎啓吾(森川智之)他

おおお。これはこれは。朴念仁マニアの血が騒ぐぜw 涼司の鈍さに透が泣いた。まあそんな話です。

お話はですね、ひそかに想い続けてた人にある日突然「お前に欲情するからヤらせろ」と言われ、心を痛めながらも関係を持ってしまう透と、自分の気持ちがはっきりしないままぶつけてしまったバカの話です。
櫻井さんの言う「透は女の子」というのは、すごく判る。まあいきなりヤらせろと言ってくる男子もそうそういないわけですが、相手の告白を受け止めた瞬間の気持ちはそんなもんだ。性欲と恋心の境界が曖昧な男子と、そこは建前でも分けておきたい女子の話だよな。まあ女子もトウが立ってくるとそうでもないんだけどさw 高校生の話ですから。

まあでもこれはBLなので。内面がどうあれ相手は男子だ。
涼司の無神経さも判るんだ。聞いた感じではカノジョともそんな感じみたいだし? モテるから、あんまり苦労しなくても女の子とのえっちは不自由しておらず。女子相手でもヤりたいと恋は同じでよかった人。それを同性同士の気安さから、ストレートに言っちゃったわけで。お前も男なんだし、その辺判るよな? みたいな。そもそもカノジョとヤってても透の顔が浮かぶ時点でもうちょっと考えた方がいいはずなんですが、ヤりたいと思えばできる環境にいたせいか、好きとヤりたいを分けなくても済んでたんだ。今までは。

でもでも。透は涼司が好きなのだ。片思いの間、どこまでの関係を考えていたかは判らないけれど。自分の気持ちが根底にあるから、同じ気持ちが相手にないと、体を重ねるのはイヤ。でも、自分は男で、男なら気持ちと体は分けちゃってもいいんだと言われるとそんな気もして、でも気持ちに整理はつかなくて。涼司が好きだから、気持ちと体を分けてる涼司に気持ちがあると知られるのは怖い。カラダだけだと思い込んでいるから、好きだとバレたらもう失ってしまうと決め付けている。自分の恋心は、キモチワルイから。

いやはや、朴念仁とオクテのすれ違いは切なくも萌えるね! 涼司ってば呆然と「男同士でも恋愛ってできるんかな」とか言ってんよ。ヒドいよねー、じゃあ今まで付き合ってた女子はなんだったんだろね。コクられて、ヤらせてくれたから好きな気がしてた? 最中に「好きだ」って囁けば、もっと気持ちよくなれたから? で、もしかして初めて自分からヤりたいと思ったのが、透だったってこと?(笑)そんな風に気持ちが追いつかない涼司が、可笑しくもかわいくてなあ。ビバ朴念仁! いっそすがすがしく鈍くて萌え。

そんな朴念仁に自分の気持ちを気づかせたのは、皮肉にも、あまりの辛さに透が逃げを打ったからだった。ここで透の先輩がいい仕事をします。先輩も切ないんだけどさ。透のことが好きで、ちゃんと見つめていたからこそ透に想い人がいるのが判ってしまって。でも、好きだから、自分に出来ることをしようとする。いい人だ。

先輩のいい仕事は透にも作用して、一旦彼に逃げ込んだことで、自分の気持ちと、欲にも気づく。シたいと好きは同じでいいんだと、遅ればせながら気づいてみたり。体だけつなげても意味はないと、頑なだった子が。相手の気持ちはどうでも、はっきりと欲情している自分に気づくのだ。この辺が女の子っぽいんだよね、透君。女の子は、好きっていう気持ちと性欲とを、一概に一緒には出来ない。そばにいたい、触れてみたい、キスも夢は見る。だけど、体を開くのはなんだか怖い。相手が自分への気持ちを保障してくれないと、怖い。……ということにはしてるけど。そこを越えて「欲しい」と思うことはあるのだ。その辺の越え方が、すごく女子っぽいw
そんな風に衝動でハードルを越えてしまった透が、「でもお前、柏崎さんと付き合ってるんだよな?」と問われて否定しない、そういう意趣返しもなんだか判るなーw
いやまあ自分は一応女子なので、男子のことはよく判んないんだけどさ。

穂波さんのイラストが、すごく繊細で柔らかい、パステルトーンの絵なので。檜山さんの声も、こんなにヒドくてがっついてる役なのにwどこか柔らかく。うん、なんかむつかしい役だな。フリトでも言ってましたが、がっつき具合には覚えがあるにしても描かれているのはかなり繊細な感情で。なんだろうな、涼司はなんつか、「出来ればこんな風に気づいて欲しいの」的な女子の願望の具現みたいなキャラなんで、女子的にはよく判るんですが、殿方には難しいんじゃないかなーとかはちょっと思った。
難しいのは透も同じことで、声の感じだけの話じゃないんだよな。「勉強になった」と、櫻井さんは言うてましたが。揺れる乙女心そのものだからなあ。
森川さんは、ひたすら優しい先輩を、柔らかく、柔らかく。プラネタリウムのシーンは切なかったなあ。

なーんかいろんなこと思い出したw ジョシコーセーだった頃の気持ちとか。ああ、そんなこともあったっけなーみたいなことを。うむ、面白かったぞ。