水に眠る恋

水に眠る恋

キャスト: 久住廉(小西克幸)×上原尚哉(檜山修之)他

檜山さんに目覚めた作品。初めて聞いた日と感想文を書いた日にズレがあります。
いやまあこれ以前に聴いたお話がですね、ものっそ古くて。個人的に首をかしげてたので、これ聴いたときはびっくりでした。檜山さんうめぇ。

ストーリーは、高校時代周囲の事情で別れた二人が再会する話。お互いずっと思いあっていたのに、すれ違ったまま体を重ねて。真相が判ってめでたしなんだけども。

いやもー檜山さんの傷ついた演技が絶品なのですよ。好きなのに、ずっと好きなのに、それを言えないまま強引に体を開かされて。それでも嬉しい自分に絶望するさまがたまんねーのですよ。恨まれてもしょうがない、現に憎まれてる、だからひどいことをされてる、それに抗うことは自分には出来ない、でも、でも……っていう辺りがもうね、切ない切ない。まあその、尚哉@檜山もね、自分が先に捨てたという罪悪感から、久住@小西の気持ちが見えなくなっていて。久住の行動にいくつかヒントがあるものの、どうしても久住を信じられない。その態度が冷たい壁になって、久住をヤな方向に煽っちゃうんですよね。

捨てられた久住だって、いまだに尚哉を想っていることを認めるのは怖いわけですよ。誤解てんこもりで過ごしてきたわけだし。だから、自分のこの想いが報われそうなら、もう一度素直になれるかもしれないなんていう、儚い打算を抱いて尚哉に接する。そして尚哉の壁に阻まれて苛立って、ひどく傷つけちゃうんだよな。そこいらへんの、久住が尚哉の一挙手一投足に揺れるさまを、小西さんが好演してらっしゃいます。

真相が明らかになって、誤解が解けたあとでも。二人の怯えはまだ残っていて、また間違った選択をしてしまう。まさに「言葉はいつでも裏切るばかりで」状態。今信じなければいけないのは言葉以外なのに、と、聴くたんびにハンカチ噛みます。その辺りの尚哉のモノローグがさ、檜山さん、ほんとに「本当に悲しいとき涙も出ない」って声なんだよ。何回聞いたか忘れましたが、それ聞く度に尚哉のばかーとツッコんでいます。お前らしゃべるときに相手の目を見ないから悪いんだぞ、と。

まあ、それもきっかけがあって解消して、報われるわけなんですけども。もう本当によかったねと。ああもう、イイハナシダナー。

高校時代のエピソードも随所に挿入されていて、二人が別れるシーンの檜山さんの泣きそうな声もたまんないです。明るくしゃべりかけながら、ふるふると語尾が揺れる感じがもう。ラストシーンの初めて泣きじゃくるとこもよかった。胸キュンてこういうことだよなー。

原作には続きがあるんだよね。(珍しく買ったらしい)うええ、聞きたいー! らぶらぶになってちょっと大胆になった尚哉の頑張りを聞きたいー! 脳内再生もいいけど、ホンモノの声で聞きたいよう。

すんごい繊細なCDだと思います。いろんな感情が詰まってる話なんですけども、お二人とも、一個一個全部拾ってる感じ。何度も聴いていますが、聞く度に台詞の意味を発見したりしてですね、すごく面白いです。