さらさら。

さらさら。
キャスト: 秀島慈英(三木眞一郎)×小山 臣(神谷浩史)他

いやーもー、もってかれたー。まだ酔ってるw お二人さん大丈夫だよ! この感動はフリトごときで飛ばないからね!(ぉぃ

初めての新作レビューですw シリーズものの続きですけども。前3作もすごくよくて、慈英と臣の二人にはやきもきしてたんですが。
なんつかこー、サイドストーリーがしっかりした話なんだよね。臣さんが刑事で、慈英が画家で。それぞれの職業に絡んだ事件が起きて、それが二人の関係の進展にしっかり絡んでるもんで、聞き返すのにわりとエネルギーがいるんですがw まあその、ややこしい過去を持つ臣さんと、ややこしい体質の慈英のお話でした。

今回はですね、番外編ということで、がっつりメインが二人の恋模様で。やはしこー、イロコイを聴きたい自分としては、待望の、という感じでございました。

最初に引っかかったのは、臣が慈英の転居の動機に疑問を持つシーン。すっとね、神谷さんの声の温度が下がるですよ。この二人も、どうにも想いを言葉にするのがへたくそなカップルで。んで、言葉は信じられないとお互い判りながら、言葉の裏の態度にひどく過敏で、基本ネガティブだから厄介だ。言葉そのものが重要じゃないのは、お互い判っている。けど、裏側で揺れてる気持ちをどんどんネガティブに誤解して。何にも言えないまま、言わないまま、体だけ重ねていく。BLの展開としてボディトークでなんとかしちまうのもよくあるんですが、この二人は、もうちょっと丁寧に手順を踏まないとだめみたい。
その辺の、「言えない気持ちがネガティブ」というのが、さっき書いた神谷さんの声のトーンの変化でずきんと伝わりました。

緩やかに日常を挟みながら、言えない気持ちが積み重なっていく。二人ともどうにも、自分の相手への思いの強さに比して、相手の気持ちへの自信が足りなくて。臣さんはその過去ゆえに、慈英は、初恋であるがゆえに。強すぎる相手への思いをもてあまして、苛立ちだけが募っていく。言っちまえよとツッコむことはできますが、なぜ言えないのかもよく判るので、聴いているこっちは見守ることしか出来なかったです。

くるくるとよく暴れる臣さんの気持ちに比べ、慈英の気持ちはわりと不明瞭だ。うんまあ、感情表現が不得手なキャラなので、それはそんな感じで。実はワガママな芸術家っぽく、困ったことにNOだけ明瞭で。臣さんかわいそうになあ。どうにも自信がない子なので、部分的なNOが全否定に聞こえてしまう。慈英のイヤだと思う気持ち自体は本音なので、何がイヤなのかが不明瞭なまま、否定の気持ちだけが伝わってしまう。それで揺らいだ臣さんの気持ちに、慈英も揺れる。揺らぐことが不安な慈英は、揺らされること自体がイヤで、また、否定の言葉を重ねてしまう。まったく、イヤなループだw

まあでも、突破口は用意されていて。慈英の気持ちを表現するアイテムとして、画家らしく絵が絡んでくるんですが、絵に詰まった気持ちを臣さんに暴露する瞬間がね、すごいカタルシス。自分なんかは文章ですが、表現したものにこそ魂が乗るというのはよく判るしね、天才画家である慈英の絵は、そりゃもう色々ダダ漏れだったのだろうと。CDなんで映像はないですけど、好き好き大好きって描いてあったのだろうなー。ううむ、言葉にすると陳腐だ。
臣さん、絵にカウンター食らってふらふらで、慈英がそれを肌身離さず持ち歩いてると知ってすっかりPKOw 言葉だけでは堕ちなかったのにね。
いやもーこのシーンの緊張感が半端なくて。臣さんと一緒に泣いちったw なんつか、もうここだけでおなかいっぱいな感じ。まあ、くっついたが故に愛の囁きもボディトークもこのあとあるんですが、蛇足な感じまでしたなー。「愛してる」って、想いを判りやすく表現するに当たって他に選択肢がない言葉なのに、なんでこー、軽いんだろうね。終わったあとで「かわいい〜」ってメロメロしてる慈英の方が、よっぽど愛に溢れてる感じだったw

まあその、慈英の気持ちに関しては、2枚目のキチガイ告白が白眉なので。そちらでお楽しみください。(ぉぃ こっちの話の慈英は、まだまだ臣さんに対して遠慮があって。カッコつけてるし、まだちょっとさらけ出してない感じ。ちゃんと時間が巻き戻ってるなあ。

三木さんは相変わらず憑かれているので、まあその、そこにいたのは慈英でした。原作読んでないのでイメージどおりだったかどうかという話じゃないです。聴いている間、「三木さんがやってる」という感じは消えて、イメージの中には慈英しかいませんでしたというお話。

やーもーおなかいっぱいー。ご馳走様でした。