お金シリーズ 2 お金しかないっ

お金しかないっ

キャスト:狩納北(小杉十郎太)×綾瀬雪弥(石田彰)・時川敬昌(檜山修之)他

ヒィイイイ! 怖いっ! マジ怖いっ! どうした、拉致監禁の上で迫られるってウキウキお楽しみな人じゃなかったかよ俺。(それもどうよ)もうやだ、助けて! 檜山さん怖すぎるよ……。お話はまだ続いていますがトリハダがおさまりません……。
拉致監禁の上ゴーカンてこんなに怖いものだったんだね。今まで萌えてごめんよ、受の皆さん……。

お話自体は有名ですね。商業BLをほとんど読まない自分でも知ってたくらいだし。一応ざっと書くと、親戚の借金のせいでヤクザまがいの金貸しに売られちゃった受の話です。このCDだと、ストーカーに狙われてさあ大変ってとこです、はい。

檜山さんのために買ったので、上記ストーカーこと時川について語りますが。まあその、ネタバレ済みで聴いたからかもしんないんですが、ただの同級生としてみんなに混じっているときでも、なんだか声が浮いてるんですね。加納にイロイロされた後久々に学校に来た綾瀬に、同級生もみんな目の色が変わっちゃってるんですけど、時川だけは冷静なんです。なんだろうな、努めて常識的な会話をしている感じ。嘘っぽい声でいいのかな。みんなが興味深々で綾瀬を構っている中、同級生以上の興味はありませんていう振りで。それがまあ、祇園に襲われているところを助けて、綾瀬を部屋に連れ込んで。「綾瀬のことで知らないことなんてないよ」と告げてからが大変だ。
ストーカー特有の妄想を語りながら、台詞が熱を帯びてくる。どれだけ自分が綾瀬を愛しているか、どれだけ見つめ続けてきたかを熱っぽく語る時川は、自分に酔って綾瀬自身を見てはいない。どれだけ自分が綾瀬を愛しているかを告げることに夢中で、そんな自分を綾瀬に晒すことにうっとりして。ああそうか、ストーカーが怖いのってこういうことなんだ。言葉は愛の告白なのに、その言葉は身勝手にぶつけられるばかりだから。愛を告げられているはずの自分は、彼の幻想の産物でしかなくて。どう頑張っても愛されているとは感じられないからなんだ。
思わずストーカーの恐怖を実感してしまったわけですが、加納が救出に来た後の、絶妙な小物感もたまんねぇです。自分で手を下せるわけじゃ、ない。所詮はすねかじりの大学生、国家権力の威力を連呼するしかなくて。そんなものが決定打になるはずもなく、裏返って上ずった声は彼がひどく小心者であることを裏付けるばかり。いやはや、すっげーなあ。

時川が綾瀬を好きなのはまあ、判るんです。「綾瀬」という名前の何かをものすごく愛していることは。彼が語る「綾瀬」という名前は、すごく甘くて。とろけんばかりに甘いからこそ、怖い。所詮ゲストキャラで小物なんでね、すぐに馬脚を現すんですけど。これ、誰も助けに来ない状況で3日も閉じ込められればうっかり惚れるよ? 死ぬよりはマシな選択という意味で。マトモな神経なら惚れるはずのない相手だけど、生存本能が心を騙すと思う。この人を好きにさえなれたら楽になる、と。
まあそんぐらいおっかなくて、真に迫っておりました。ただヒドいことを言われてるだけじゃなくて、本当に好かれてて怖いっていう。自分、こういう当て馬さんじゃなくて本命で、拉致監禁した上でひたすら優しい攻は何回か書きましたが、受の心境を全然理解してなかったなあ。ここまでおっかねぇと思わなかった(笑)

なんか凄すぎて色々吹っ飛んでしまいましたが。綾瀬君はまだまだ痛々しいな。加納相手でも、他の優しげなキャラ相手でも。まだ自分の立ち位置を把握するのに必死で、周囲の感情にまで気が回らない感じ。加納を好きかどうかはまだ判らない。けれど、他の人と加納ははっきりと違うと感じている、というところか。加納さんは加納さんで、じわじわとそれまでの自分を崩されてはいるけれど、まだ自分のやり方に固執している感じ。

他の皆さんもすごく上手いので、耳に楽しいCDです。だーれも綾瀬を人扱いしてなくてヒドいけどw それも演出なのかなあ。時川だけが綾瀬のことを思っていると、綾瀬に錯覚させるための。
飛田さんのカマ演技は大好きだwほっとしたー。

甘い口づけでも思ったことですが、檜山さんの怖い演技は本当に怖くて困る(笑)