平知盛 〜The time walkers5〜

オリジナル朗読CD The Time Walkers 5 平知盛

というわけで聴きました。ふむ。これ、歴史モノっていうよりはSFなのね。シリーズの他の話は知らんので、どういうコンセプトなのかは判らないまま聴いたです。

お話は、悲劇の英雄平知盛に憧れたとある役者が、夢破れて失意の中、タイムスリップして本物の平知盛になってしまう、という話。なので、知盛自身の物語というよりは、彼の人生を追体験して成長する「俺」の話なのだな。「俺」は知盛のファンなので、彼がどのような時代で、どのように生き、そして死んでいったのかを知っている。だから、アクシデントで知盛に「なってしまった」ことを受け止め、一役者として彼を演じきろうとするのだが。
なんとなく。「俺」が知盛を力一杯演じることと、「俺」ではない知盛がその生を懸命に生きようとすることがどこか重なるんだよね。違うもののはずなんだけど。「俺」は、歴史上のこととして知っている知識を生かし、知盛として平家を勝利に導こうとする。詳細はCDにはなかったけれど、味方を鼓舞し、作戦を練り、そして戦う。役者としての「俺」は、知識だけとはいえ知っている流れなのだが。結末を変えられると思って行動したが故に、より本物の知盛に近づいたんじゃないかと思うのだ。なんつか、演じることの本質のひとつを突いたような。そんな話になっている気がします。
なんかちょっと、前に檜山さんが森田さんに言ってた「俺は敵役だけど、お前を倒せると信じて演るぜ」(だっけ?)という話を思い出してみたり。
すべてを知っている「俺」が歴史を変えられなくて感じた失意と、本物の知盛が自軍の劣勢に感じたであろう失意は、違うもののはずなのによく似ている。そういう相似が、なんか面白いです。

丸ごと1枚檜山さんの声っすよ。1時間あまり、至福の時間を過ごしましたw 面白かったですー。